海外FXにおける法人口座について、このような悩みはありませんか?
「海外FXで個人口座と法人口座にはどんな違いがある?」
「海外FXで法人口座を開設するメリット・デメリットは?」
「海外FXで法人口座を開設するにはどんな書類が必要?」
海外FXでは個人で開設する「個人口座」と、法人が開設できる「法人口座」の2種類がありますが、どのような違いがあるかご存知でしょうか。
海外FXでトレードを行っている方は個人口座を開設しているケースも多いですが、法人口座のほうが節税などに大きなメリットがある場合もあります。
とはいえ、法人口座が優れているというわけではなく、場合によっては個人口座のほうが節税できる場合もありますので、海外FXにおける個人口座と法人口座の違いについて理解することが大切です。
そこで本記事では、海外FXにおける法人口座と個人口座の違いや開設するメリット・デメリット、必要書類について詳しく解説します。
海外FXにおける法人口座と個人口座の主な違い
海外FXにおける法人口座と個人口座の主な違いは以下の通りです。
それぞれの違いについて、以下で詳しく解説します。
口座名義が異なる
個人口座の名義は個人名ですが、法人口座の名義は法人名となります。
つまり、海外FXで法人口座を開設するためには株式会社もしくは合同会社を設立する必要があるのです。
トレードで得た利益にかかる税率が異なる
個人口座でも法人口座でも、FXトレードで得た利益に対して税金を支払う必要がありますが、利益の額によっては法人口座のほうが税率が低くなることがあります。
まずは個人口座でかかる税率について見ていきましょう。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
(出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」)
続いて、法人口座でかかる税率について見ていきましょう。
課税所得金額の区分 | 400 万円以下 | 400 万円超 800 万円以下 | 800 万円超 |
法人税 | 15.00% | 15.00% | 23.20% |
地方法人税 | 1.55% | 1.55% | 2.39% |
法人住民税 (1)都道府県民税 | 0.15% | 0.15% | 0.23% |
法人住民税 (2)区市町村民税 | 0.90% | 0.90% | 1.39% |
事業税 | 3.50% | 5.30% | 7.00% |
特別法人事業税 | 1.30% | 1.96% | 2.59% |
総合税率 | 22.40% | 24.86% | 36.80% |
(出典:JETRO「3.3 法人所得課税の概要(法人税・法人住民税・事業税)」)
上記の通り、個人口座と法人口座で税率が大きく異なるため、所得が600万円以下の場合は個人口座のほうが節税になり、所得が1,000万円を超えると法人口座のほうが節税になります。
ただし、法人税については事業規模や設立する自治体によって異なりますので、必ず会社を設立した自治体の税率に則って計算するようにしましょう。
経費にできる範囲が異なる
個人口座に比べて法人口座のほうが経費にできる範囲が広くなるため、経費が多い場合は法人税のほうがお得になる可能性があります。
個人口座の場合、FXトレードに使用するパソコンやデスク、スマホ、Wi-Fi、家賃の一部などを経費にすることができますが、法人口座の場合はこれらに加えて役員報酬や保険料、給与、福利厚生など、経費にできる範囲が大きくなるのです。
経費をうまく活用して節税するためには税金の知識が必要にはなりますが、正しく経費計上できれば大きく節税できる可能性もあります。
損益通算の金額が異なる
損益通算とは、FXトレードで損失が出たときに利益を相殺することを指しますが、個人口座よりも法人口座のほうが相殺しやすいです。
個人口座の場合、FXの損益を相殺する場合はアフィリエイトや年金収入、その他雑所得などと相殺できますが金額としては大きくないでしょう。
一方で法人口座の場合は、他事業と損益通算できるため、FXトレードで損した場合は相殺しやすくなります。
また、法人口座であればFXトレードで大きく利益を出した場合、他事業へ投資することができるため、節税しやすいという特徴もあります。
海外FXで法人口座を開設するメリット
海外FXで法人口座を開設するメリットは以下の通りです。
それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。
所得が1,000万円以上の場合に税金が安くなる
先ほどもお伝えしたとおり、所得が1,000万円を超える場合は法人口座のほうが税金が安くなります。
とはいえ、個人口座から法人口座にするためには、会社設立金や税理士費用などを考慮すると個人口座のほうが結果的に費用を抑えることができる場合もありますので、総合的に計算して安くなるほうを選択するといいでしょう。
経費にできる範囲が広がる
先ほどもお伝えしたとおり、法人口座にすることで経費にできる範囲が広がるため、FX関連に多額の投資をしているという場合は法人口座のほうが節税できる可能性が高くなります。
ただし、正しく経費計上しないと税務調査が入る場合がありますので、経費にできるものとできないものの区別に迷った場合は税務署や国税局、税理士などに相談するようにしましょう。
繰越控除をすることができる
法人口座にすることで10年間の繰越控除をすることができます。
繰越控除とは、本年分の損失を控除しきれないときに、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除することができる制度です。
例えば、2022年度の損失が1,000万円だった場合に繰越控除を行い、2023年度の利益が1,000万円だった場合、損失と利益のそれぞれの1,000万円を相殺して税金を0円にすることができます。
この制度は個人では利用できないため、法人の大きなメリットと言えるでしょう。
決済時期を好きなタイミングに設定できる
個人事業主の決済日は確定申告に合わせて12月31日と定められていますが、法人の場合は決済時期を自由に決められるため、納税資金のやりくりを調整しやすいというメリットがあります。
海外FXで法人口座を開設するデメリット
海外FXで法人口座を開設するデメリットは以下の通りです。
それぞれのデメリットについて、以下で詳しく解説します。
赤字でも法人住民税を支払う必要がある
個人口座のトレードで所得が赤字になった場合は税金を納める必要はありませんが、法人口座の場合はどんなにマイナスになったとしても法人住民税を支払う必要があります。
法人住民税の金額は資本金によって異なり、資本金が1,000万円以下の場合は年間7万円、資本金が1,000万円以上の場合は年間18万円かかります。
そのため、FXトレードで安定した利益を出せない状態で法人化してしまうと、法人住民税を支払えなくなってしまう可能性もあるのです。
利益を自由に使うことができない
個人口座のトレードで得た利益は自分の利益となるため自由に使用することができますが、法人口座のトレードで得た利益は会社の利益となるため、自分の法人であっても自由にお金を使用することができなくなってしまいます。
基本的には役員報酬という形でFXトレードの利益を受け取ることになります。
また、役員報酬は基本的に年度の途中で変更することができないため、急な出費がよくある方は不便に感じる場合もあるでしょう。
会社設立に費用がかかる
法人口座を開設するためには法人設立が必要ですが、国内法人の場合は株式会社で20万円〜30万円、合同会社の場合は10万円〜20万円の法人設立費用がかかります。
また、法人を設立するにあたって税理士を付けることが一般的であるため、税理士費用としてさらに30万円〜100万円の費用が必要です。
このように、法人設立にはさまざまな費用がかかるということを覚えておくといいでしょう。
海外FXで法人口座を開設するときに必要な書類一覧
海外FXで法人口座を開設するときに必要な書類は業者によって異なるため、どのような書類が必要になるのか知っておく必要があります。
代表的な海外FXで法人口座を開設するときの必要書類を以下の表にまとめました。
海外FX業者 | 必要書類 |
FXGT | ・法人名義の銀行取引明細書 ・登記簿謄本 ・定款 ・取締役会決議書(テンプレートあり) ・最終受益者申告書(テンプレートあり) ・口座管理人全員分の身分証明書と住所証明書 |
HFM | ・登記簿謄本 ・株主名簿 ・定款 ・登録株主、取締役全員分の身分証明書と住所証明書 |
Exness | ・法人口座の申し込み書 ・代表者の本人確認書類 ・代表者の現住所確認書類 ・法人の住所確認書類 ・登記簿謄本 ・会社の定款 ・株主名簿 ・株主名簿 |
AXIORY | ・履歴事項全部証明書 ・法人現住所確認書類 ・全取締役それぞれのご本人様確認書類 ・全取締役それぞれの現住所確認書類 ・取締役決定書 ・株式名簿 ・定款 |
TitanFX | 【日本法人の場合】 ・法人の登記簿謄本 ・取締役・実質的支配者全員分の顔写真付き身分証 ・取締役・実質的支配者全員分の現住所証明書 ・取締役・実質的支配者の証明書 【海外法人の場合】 ・取締役一覧が記載されたCompany Statement ・Certificate of Incorporation ・取締役・実質的支配者全員分の顔写真付き身分証 ・取締役・実質的支配者全員分の現住所証明書 ・取締役・実質的支配者の証明書 |
BigBoss | ・登記簿謄本(履歴事項全部証明書) ※発行から3ヵ月以内 ・法人の住所証明書 ・取締役の方全員の身分証明書(免許証又はパスポート) ・取締役の方全員の現住所確認物 ・株主の方全員の身分証明書(免許証又はパスポート) ・株主の方全員の現住所確認物 |
TradersTrust | ・全部事項証明書類 ・会社定款 ・財務諸表(1年以上継続して営業している法人) ・口座開設・口座運営に関する決議書 ・法人住所証明書類(発行後6ヵ月以内) ・会社役員全員分の身分証明書類 ・会社役員全員分の住所証明書類(発行後6ヵ月以内) |
ThreeTrader | ・会社の登記簿謄本(3ヶ月以内のもの) ・役員全員の身分証明書と住所証明 ・「20%以上の株式保有者」または「出資者」全員の身分証明書と 住所証明と身分証明書とご自身が入るように撮った自撮り写真 ・法人銀行口座取引明細書もしくは 通帳の表紙と通帳の1ページ目がわかるもの ・株主名簿または出資者名簿 |
iFOREX | 資本金や会社形態によって異なるため担当者への確認が必須 |
【まとめ】海外FXの法人口座は作れるなら検討すべき!
本記事では、海外FXにおける法人口座と個人口座の違いや開設するメリット・デメリット、必要書類について詳しく解説しました。
海外FXにおける個人口座と法人口座の最大の違いとして挙げられるのは税金関係です。
海外FXでのトレードは国内FXでのトレードよりも高額な利益をあげることができる一方で、大きな損失を生み出してしまう可能性がありますが、法人口座であればどちらのケースでも柔軟に対応することができます。
もちろん、FXトレードおよびその他の事業収入の金額が小さいのであれば個人口座で税金的に損することはありませんが、所得が1,000万円を超えている場合は法人口座を検討することがおすすめです。
ぜひ本記事を参考にして海外FXにおける個人口座と法人口座の違いについてチェックしてみてください。
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